雨の上がった放課後に「ちょっと調べたい事がある」という平に誘われて来たのは図書室。

図書委員…同じクラスの長瀬がカウンターでまどろんでいる。
最近の高校生の活字離れはここ常葉も別物ではないようで、図書室はガランとしている。


「調べたいことって…?」

黙々と探し物をする平の背中に声をかける。

「ん〜…ちょっとね、」
「ふ〜ん…」
この空気のような生乾きの返事を聞きながら
図書室の教室に比べると座り心地のいい椅子に腰を降ろす。

窓の外にはサッカー部。
グラウンドコンディションが悪いからと今日は筋トレらしい。


このぼんやりとした空気と包み込むような本のにおいは俺の瞼を重くした。


平の探し物はまだ終わらないらしい。








探していた本をようやく見つけた時、伊崎は机に顔を伏せて眠っていた。

時計は5時40分。
下校時間まであと20分。

「純ちゃぁん、起きて?じゃないとちゅうしちゃうよ?」

冗談で言った言葉だったけれど、
起きる様子の無い伊崎に少しだけ意地悪くなっていたのかもしれない。
これで起きたら香山に話してやろうと、俺は伊崎の頬に,0数秒の口付けを落とした。

「っ…!何すんだよ?!」

目を覚ました伊崎の顔はCaの炎色反応より赤かった。


少しだけこの薄ぼんやりとした空気をいいと思った。






図書委員:長瀬 琉依とクラス会計:小野道 花音の会話。 「ちょっ!!花音さんっ!!」 「何?」 「い…今PAYが…PAYがっ!!」 「え”?!呼びに来てよぉ。」 「だって…起きたらいけなかったんだもん…」
少し前まで熱かったPAYです。 …今でも結構好きなんですけどね。 えと、最後の二人…わかる人にはわかるでしょうが。 まぁ、常葉高校の腐れという役回りです。 他にも数名います。