「広木ちゃんってさぁ、一日何本くらい吸ってるの?」

放課後の職員室。
もうほとんどの先生は帰ったり部活に行ったりで、二人だけの空間のようで思わず心が浮き立つ。
俺は自分のクラスの書類と真剣ににらめっこしている広木ちゃんにふと聞いてみた。

「一日二箱って・・・本数じゃないし!吸い過ぎでしょ。」

「俺には煙草があれば十分なんだよ。」

笑いながら答える広木ちゃんに、俺はちょっとむっとした。

―――そりゃ、煙草吸ってない広木ちゃんは広木ちゃんじゃないけどさ・・・。

「?どうした、香山。」

気付いたら、広木ちゃんがペンを止めてこっちを見ていた。いつの間にか黙りこんでしまったらしい。

「・・・なんでもなーい。」

「意味分かんないやつだなぁ。」

笑みで返すと広木ちゃんはまた書類に目を通し始めた。

―――煙草に嫉妬するなんて。
確かに今の自分は自分自身よく分からなかった。
でも、きっとこんな気持ちにも彼は気付かないのだろう。

「はーぁ。」

「?だから何だよ?」

「・・・広木ちゃんはホントに天然だなぁと思って。」

「うるさい。・・・っあ゛〜、香山。ちょっとそこの計算は終わらせとけよ。」

「?書類コピーしに行くの?」

「・・・栄養補給。」

そう呟きながら手を伸ばした先は煙草の箱。
俺は咄嗟に広木ちゃんよりも先にそれを素早く奪った。

「おまっ・・・何すんだよ!」

「吸い過ぎ禁止〜。」

返せと怒る広木ちゃんには悪いけど、今は返すつもりはない。

「香山、そういう優しさは俺にはいらないから早くそれ返せ。」

「何言ってんの。生徒の優しさ故の行動ですよ、先生。」

いや、広木ちゃんへの優しさの為なんて嘘なのかもしれない。
―――そう、これはきっと俺の子供じみた嫉妬の為。




涼風様より。 以下、反転 千明交換しちゃいましたよーッ…!!! なんでか今一番熱い。 そんな千明を交換してしまいました。 千明といえば煙草ネタ。 ありがとうッ!!涼風さん☆