『おかえりなさいませ。ご主人様』



夏休み、俺達はどこかに出掛けようと計画を立てていた。

そんな時に、日金の奴が一言。

「メイド喫茶行ってみたくね?」
と言ったのがいけなかったんだと思う。

その話に多良が乗って仕方無しに、山下と神野がついて来て。
責任者として桂川がついて来る事になった。
計、6名。
男ばかりの、初めての秋葉原。だ。

どちらかと言えば原宿・新宿出現型の俺達はかなり彼らの聖地では浮いている。


「…ご主人様、お飲み物は如何ですか?」
最近つくづくTVで見る様になった萌え系のメイドさんが俺達のテーブルに来た。

広木ちゃんが着たら似合うんだろうけど。

「俺、萌え萌えメロンソーダフロートで。」
「じゃぁ、俺はそれのコーラ」
「俺もそれで。」
「俺はアイスティーで」
「いちごみるく」
桂川が目を輝かせて注文すると、それに続けて神野が注文する。
山下もあまり乗り気じゃなさげに神野の言葉に続くと、日金が洒落て決めて、
それに少し間を空けて多良がいちごみるくと呟いた。

「…じゃぁ、俺は…」
目に入るのは甘そうなカクテルばかりで、飲みたいソフトドリンクも無い。
仕方無くアイスコーヒーを頼んだ。

「なんか、香山大人だよなー」
多良が俺の顔をチラリと見てから桂川に微笑みかけた。
「そりゃ、広木先生となんかあったんじゃねぇの?」
にやにやしながら桂川は俺と多良に3:7くらいで視線を送る。
「別に。そんなことより、この後どうすんだよ?」
メイド喫茶といえども時間を潰すには少し辛すぎる。
「ここらへんみてまわりゃぁいいじゃん」
「さっき、ゲーセンあった」
山下の言葉に神野が嬉しそうに付け足した。
「なぁ、多良。一緒にドラムの達人やろうぜ!!」
日金が多良を誘う。多良はやんんわりとOKをしていた。

正直、広木ちゃんのいない空間はつまらない。

「なぁ、香山。今年の文化祭、こういうのもいいかもな」
クラス委員という立場上、俺と桂川はそういう話をすることが多い。
「あぁ。一応うちのクラスは女子もいるしな」
確かに普段の行動は知らないが、顔がいい女子ばかりだ。
「シスターとかいいんじゃねぇ?」

この男、実はここに通ってるんじゃないかと言うような話を始める。
「あぁ、楽しみだな」

こいつの話を半分で聞きながら広木ちゃんに似合うだろう上品なメイド服を見遣る。




本当に、こいつら。












と、言う事で前々から詐欺師内でリクエストのありましたメイド喫茶ネタです。 何回か書き直したのにね…!! と、いうことで残暑見舞いです。どうぞご自由に。