「う…わ…」

広木ちゃんに数学の質問をして帰ろうとした昇降口。
しとしとと雨が降っていた。

雨なんか降るなんて都知事の息子も言ってなかった。
…まぁ、もともとあいつの予報は知らないけど。

傘もなければ、クラスメイトも皆下校済み。
増してや俺は独り暮らし。
勿論、親も誰も迎えになんか来ない。


「あーぁ…」
仕方ないか。と購買部まで戻ろうとした時、運命の女神は俺に落ちた。
まぁ、別に女に興味が全くないわけじゃないから、女神だって相手には出来るだろう。

「香山、乗ってくか?」

広木ちゃんは校内見回りを終えて帰ろうとする所だったらしい。
「お前は雨の中傘さして歩くの似合わねぇもんな」
な?と笑いながら俺に傘を差し出した。

「じゃぁ行きますか」
広木ちゃんの黒い二人乗りの車。


家までの道。
そんなに長い距離でもないけど。


あなたとの時間。

煙草のにおいに満ち溢れて。





と、言う事で。 またしても千明です。 そして、またしても涼風さんに贈ります。 というか、えくすちぇんじ。ですが。