貴方がもうすぐここへ来る。


大好きな煙草を吸いに。


貴方の煙草は実は軽い奴で。
不味くは無いけど、俺は好きじゃない。

それに、俺だってある程度は優等生な所もあるから。


そろそろ来るかな、と用意されているパイプ椅子に腰を降ろしてシガレットラムネを咥える。




忙しく近づく足音と、開かれた扉と、少し空気の止まった瞬間。



「なんで…お前ここにいんだよ?」

もっともな質問だ、とは思う。
「え?休憩?」
へらりと答えれば広木ちゃんは俺からシガレットラムネを取り上げて咥えた。

「子どもはこんなんすっ…うわぁー…ラムネかよ」
授業中に計算ミスを見つけた時と同じような声を上げて。

この人が愛しくて仕方ない。

「広木ちゃんの奴、頂戴」

「ばーか、ダメに決まってんだろ、5年早いっ!」


「じゃぁ、5年後、一緒に煙草吸おうよ?そん時、頂戴ね?」
「そん時は…な、多分忘れてるだろうけどな。俺が」



「俺が、覚えてる。俺、勉強以外は結構記憶力いいんだよ?」


「お前は、それで数学の公式の1つでも覚えろよ」

「…やだ。」



冗談交じりの僕達の時間は。

ラムネみたいにな甘さで。





先日、色々お世話になりました炎珠様に捧げます。 なんか…うん。 こんな教師と生徒って、ドラマに絶対いそうですよね…! ん〜…香山君頭悪いんです。勉強に関しては。